学校に行けない日に、机に向かえた——それだけでいい——「学校に行けない日」シリーズ 第2回
この記事の要点
不登校中の勉強の遅れが心配になったとき、焦って「勉強しなさい」は逆効果。学びを続けるための順番と方法——「遅れを取り戻す」より「学びのつながりを切らさない」発想へ。
「勉強の遅れ」が気になり始めたら
学校を休む日が続くと、親御さんの頭の中には「勉強の遅れ」という言葉がだんだん大きくなってきます。「このままではみんなに置いていかれる」「学校に戻ったとき、授業についていけなくなるんじゃないか」——その心配は、愛情そのものです。
でも、焦りが先に立つと、つい「少しでも勉強しなさい」と声をかけてしまいがちです。そしてそれが、子どもをさらに追い詰めてしまうことがあります。
今回は、学校に行けない日に「学びをどう続けるか」について、順番と方法を考えてみます。

「勉強させよう」より先にあること
文部科学省の不登校支援の通知では、学校へ登校することだけを目標にせず、子どもが自分の進路を主体的に捉え、社会的に自立できるよう支えることを大切にしています。休むことに意味がある場合もあり、本人の状況を見ながら支援を考える必要があります。
「勉強させる」前に「安心して過ごせる」が先。前回のコラムでもお伝えしましたが、この順番はとても大切です。
「遅れを取り戻す」より「学びを続ける」
勉強の遅れを心配するあまり、一気に取り戻そうとするのも逆効果になりやすいです。
気になる単元があれば、全部を一度に終わらせようとせず、在籍校の先生と相談して優先順位をつけてみましょう。休養が必要な日には学習を休むことも含めて、無理のない計画を考えます。
学習の方法だけでなく、先生との連絡や教材の受け取り方など、学校とのつながりをどう保つかも相談できます。
「机に向かえた」——それだけでいい、最初は
子どもが学校を休んでいる時期に、親が目指すべき最初のゴールは「完璧な学習」ではありません。
取り組めそうな日に、「一緒に一問見てみる?」と選べる形で声をかける方法もあります。今日は難しいと答えたら、その気持ちを聞くことから始めましょう。
机に向かう、鉛筆を持つ、一問だけ解く。小さな取り組みも、その日の学びとして受け止めてみてください。そこから自信が戻るかどうかや、必要な時間には個人差があります。
「勉強感」を薄くする工夫
学校に行けていない子どもにとって、「勉強しなさい」という言葉はプレッシャーになりやすいです。だからこそ、最初は「勉強感」をできるだけ薄くすることが大切です。
例えば、気になった生き物を図鑑で探す、好きな物語を音声でも聞く、買い物の値段を一緒に確かめる。机の上の教材以外にも、本人が関心を持てる入り口を探してみましょう。タブレットが使いやすい子もいれば、紙や実物のほうが取り組みやすい子もいます。
大事なのは内容より「学びへの入り口を開けておくこと」。好きなことや得意なことから始めることで、学ぶこと自体への抵抗感が薄れていきます。
取り組む時間は、その子の調子に合わせる
学習できる時間や頻度は、本人の体調と相談しながら決めましょう。毎日続けることが負担になる場合もあります。
予定を立てるなら、本人と「いつなら取り組みやすそうか」を話し、休む余地も残しておきます。できなかった日に埋め合わせを増やすより、何が負担だったかを一緒に確かめる材料にしてみてください。
十分な休養と、本人が選べる学習の機会。その両方を、学校などの支援者と相談しながら用意していきましょう。
親の役割は「教えること」より「そばにいること」
学校に行けない日の自宅学習で、親が陥りやすいのが「先生役」になってしまうことです。教えようとするほど、親子の関係がぎこちなくなることがあります。
そばにいてほしいか、一人で取り組みたいかも、子どもによって違います。「一緒に考える?」「終わったら見せてもらう?」と聞いてみましょう。家庭だけで抱えず、学校や教育支援センターなどに相談することもできます。
学びは、学校の中だけにあるわけじゃない
最後に、少し視野を広げてみると——学校に行けない日は、実は「学校では経験できないことを学ぶ時間」でもあります。
料理を手伝いながら分数や計量を学ぶ。図鑑を眺めて好奇心を広げる。散歩しながら季節の変化に気づく。そういった「生活の中の学び」が、学校に戻ったときの土台になることも少なくありません。
「机に向かえた」「1問解いた」「今日も読書した」——そのひとつひとつが、確かな学びの積み重ねです。
参考文献
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